あと四十日 “フルトヴェングラーの証人”による現代への警告
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ベルリン・フィルの首席ティンパニー奏者をかつて務め、話題となった『フルトヴェングラーかカラヤンか』の著者でもあるヴェルナー・テーリヒェンが最後に遺したメッセージ。
魂が滅びるとき、世界も滅びる。
フルトヴェングラーの元でティンパニー奏者を務め、彼の中から「女性的性質」を感じ取ったテーリヒェン。感受性を豊かにし、受け入れ、共感する——。利己主義、権威主義、拝金主義から芸術ひいては人間を救うため、テーリヒェンが最晩年に遺したメッセージ。
テーリヒェンの晩年の論説、講演録、そして聖書のヨナ書を題材にした最後の作曲作品・音楽劇《あと四十日》の脚本を収録。
テーリヒェン生誕100年記念出版。
《目次》
はじめに
第1章 内面を見つめて(1995年にミュルツツーシュラークでの指揮者講習会の講習生のために刊行された小冊子より)
フルトヴェングラーを手掛かりに/男性的な作曲と女性的な作曲
第2章 講演 フルトヴェングラーに見る、演奏の魅力と誠実
( 第一回ドイツイエナ大学で開催されたフルトヴェングラー・ターゲでの講演)
第3章 魂の言葉 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー没後50周年によせて
第4章 音楽劇《あと四十日》
おわりに テーリヒェンが遺したメッセージと現代
ヴェールナー・テーリヒェン年譜
《著者・編訳者略歴》
ヴェルナー・テーリヒェン(Werner Thärichen)
ティンパニ奏者・作曲家。1921年ノイハルデンベルク生まれ。48年から 84年までベルリン・フィルハーモニー管弦楽団に在籍。フルトヴェングラーとカラヤンのもとで首席ティンパニー奏者を務めた。作曲作品はチェリビダッケ、ヨッフム、カラヤンらが指揮している。著作に『Paukenschläge』(邦訳『フルトヴェングラーかカラヤンか』1998年 高辻知義訳 音楽之友社のち中公文庫)、『Immer wieder Babylon oder Musik als Sprache der Seele』( 邦訳『あるベルリン・フィル楽員の警告 心の言葉としての音楽』1996年 平井吉夫・高辻知義訳 音楽之友社)がある。2008年に86歳で没。
野口 剛夫(ノグチ タケオ)
作曲家・指揮者・音楽学者。1964年東京生まれ。中央大学大学院(哲学)、桐朋学園大学研究科(音楽学)を修了。現在東京フルトヴェングラー研究会代表。著書に『フルトヴェングラーの遺言』(春秋社)、訳書にシェンカー『ベートーヴェン第5交響曲の分析』(音楽之友社)、フィッシャー=ディースカウ『フルトヴェングラーと私』(河出書房新社)、『伝説の指揮者フェレンツ・フリッチャイ』(アルファベータブックス)他がある。2014年『新潮45』掲載の論説、「“全聾の天才作曲家”佐村河内守は本物か」により第20回「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」作品賞を受賞。
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