-
さらばピカソ! 画家ゴッドワードの日記
¥2,200
「この世には、ピカソと共存する場はない!」―「大理石か海を背景に思いにふける若い美女」を描き続けたネオ・クラシック派画家の、ローマでのピカソとの葛藤の日々を描く迫真のノンフィクション・ノベル! ★1917年の春、ピカソ(パブロ・ルイス)がローマを訪れる。そこでロシア・バレエ団に合流して、『パラード』の舞台装飾を手がけるためである。彼の仕事場は、メディチ館から至近距離にあり、またその近くには、画家や芸術家が住むまた別のヴィラがあった。そこに滞在する芸術家のひとりがジョン・ウィリアム・ゴッドワード(1861 〜1922)。ネオクラシック派の英国人で、ギリシャ風の美しか認めない画家であった。彼は、病的なまでに同じテーマ、つまり大理石か海を背景に思いにふける若い美女しか描かない。時代の風潮を非人間的、破壊的と感じて恐怖にかられた彼は、「この世には、ピカソと自分が共存する場はない」と言ったに違いない。 第一次世界大戦とロシア革命を下敷きに、ジョン・ウィリアム・ゴッドワードの個人的な日記の形式で書かれたこの小説は、史実を正確に追っていて、フィクションと呼びがたいものである。(「プロローグ」より) ★本著の「あとがき」にあるように、オークションで1957年に百ポンドだったゴットワードの『Summer Idleness:Day Dreams』(『けだるい夏~白昼夢』)の絵が、2012年のオークションで38万ポンドの値がついたそうです。このようにヨーロッパでは、ゴッドワードに関して何かが動いているようです。(「訳者あとがき」より) 《著者・翻訳者略歴》 エティエンヌ・バリリエ(Etienne Barilier) スイスのヴォー州生まれ。古典を勉強ののち、アルベール・カミュの研究で文学博士号を得る。日本語にも翻訳された『蒼穹のかなたに~ピコ・デッラ・ミランドラとルネサンスの物語』(桂芳樹訳、岩波書店)など現在まで四十作以上の小説やエッセーを発表、その中には特に音楽関係の著作が多く、『アルバン・ベルク』と『B-A-C-H』に対して、二度の「メイラン賞」を得ている。数々の文学・音楽に関する受賞に加え、2006年には、フランス政府の「芸術・文学のシュヴァリエ」に叙せられている。2011年作の『Piano chinois』は、日本語版(『ピアニスト』)に翻訳されている。 鈴木 光子(すずき みつこ) 東京生まれ。東京外国語大学フランス語科卒。フランス郵船勤務後、スイス政府観光局次長として長年スイスに親しむ。 主な著書に、『スイス歴史紀行』(読売新聞社)、『スイス紀行』(クレオ)、『スイスロングステイの楽しみ方』(NTT出版)、『スイスアルプス花の旅』(講談社)、『スイスとっておきの旅便り』(JTB)、『ジュネーブとレマン湖地方』(日経BP)、訳書に『いとしのエラ~エラ・マイヤールに捧げる挽歌』(BOC出版部)、『ピアニスト』(アルファベータブックス)などがある。日本ペンクラブ、日本旅行作家協会会員。
-
反覆 新装復刻増補版
¥3,850
日本現代美術史に残る重要作遂に復刊。 1960年代末期における芸術の風化現象に対する多摩美術大学〈美共闘〉の闘争を背景とした彦坂尚嘉の実践と精神活動をまとめた記録。当時影響力を持っていた〈もの派〉の中心作家である李禹煥に反論し話題を呼んだ「李禹煥批判/内的危機としてのファシズム」も収録。 復刻にあたり書下ろし「〈もの派〉批判―70年代論」を100頁大幅に増補!政治・経済・軍事を手掛かりに、1970年代という日米安保条約の前後から起きている巨大な文明の変動を美術と関連づけダイナミックな論考を展開する。美術の外部をとらえなければ今の時代は美術について書くことは出来ない。 《著者略歴》 彦坂 尚嘉(ヒコサカ ナオヨシ) 1946 年東京生まれ。 現代美術家・美術史評論家。多摩美術大学絵画科油彩科中退。日本建築学会会員、日本ラカン協会会員。前立教大学大学院特任教授 。1982 年第40 回ヴェネツィア・ビエンナーレ、2000~2009 年 第1~4 回越後妻有トリエンナーレ他多くの国際芸術祭に参加。著書に『彦坂尚嘉のエクリチュール』(三和書籍)共著に『空想皇居美術館』(朝日新聞出版)などがある。