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明智光秀 その才知、深慮、狡猾
¥1,980
敗れてなお歴史に名を残した将たちの生き様を描いた歴史小説――シリーズ《敗軍の将の美学》第1回配本!! なぜ光秀は本能寺で信長を討ったのか⁉ 「戦国最大のミステリー」と言われ、誰か黒幕がいるのではないかと議論が白熱している「本能寺の変」で、光秀が謀叛を起こした本当の理由とは? 光秀の本当の人物像とは? そんな明智光秀の謎に満ちた生涯を、一次資料などに基づいた全く新しい視点で描く歴史小説‼ NHK大河ドラマ『麒麟がくる』(令和2年)では、いままでのイメージである、主君、織田信長を討った逆臣のダークな光秀像が、清廉で真面目で人間味がある武将として描かれたが、本書では、一次資料などに基づいた視点から眺めることで、戦国乱世という非情な現実のなかで育まれた光秀の本当の価値観と精神、その生き様を、虚心坦懐に正面から描く。 【明智光秀(あけち・みつひで)[1516-1582]とは】 戦国時代から安土桃山時代にかけての武将、のちに大名になる。清和源氏の土岐氏の支流である明智氏に生まれる。斎藤道三に仕え、道三と義龍親子の戦いのあと浪人となり、越前国の朝倉義景を頼る。その後、将軍足利義昭に仕え、さらに織田信長に仕えるようになる。その後、信長のもとで出世し、坂本城の城主となり、越前一向一揆攻略や丹波攻略にも貢献。天正10年(1582年)、京都の本能寺にて主君織田信長を討つも、羽柴秀吉らに敗れ(山崎の戦い)、討ち取られたと言われている。 《著者略歴》 濱田 浩一郎(ハマダ コウイチロウ) 1983年生まれ、、兵庫県相生市出身。歴史学者、作家、評論家。皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員・姫路日ノ本短期大学講師・姫路獨協大学講師を歴任。現在、大阪観光大学観光学研究所客員研究員。現代社会の諸問題に歴史学を援用し迫り、解決策を提示する新進気鋭の研究者。 著書に『播磨赤松一族』(新人物往来社)、『あの名将たちの狂気の謎』(中経の文庫)、『教科書には載っていない 大日本帝国の情報戦』『昔とはここまで違う!歴史教科書の新常識』(以上、彩図社)、『龍馬を斬った男 今井信郎伝』『龍虎の生贄 驍将・畠山義就』『小説アドルフ・ヒトラー(全3巻)』(以上、アルファベータブックス)、共著に『人物で読む太平洋戦争』『大正クロニクル』(以上、世界文化社)、『図 説源平合戦のすべてがわかる本』(洋泉社)、『源平合戦「3D立体」地図』『TPPでどうなる?あなたの生活と仕事』『現代日本を操った黒幕たち』(以上、宝島社)、『NHK大河ドラマ歴史ハンドブック軍師官兵衛』(NHK出版)ほか多数。
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函館 歌と文学の生まれる街 その系譜と精神風土
¥2,750
函館慕情…不思議な魅力を秘めた精神風土から生まれた人と作品―「函館の女」北島三郎、GLAY、小説の魔術師久生十蘭、亀井勝一郎、映像で甦る佐藤泰志、辻仁成、警察小説の今野敏…函館は、歌謡曲に多く歌われ、そして多くの多彩な作家を輩出した街である。本書ではその代表的な歌謡曲や文学の魅力をあますところなく紹介する。 「函館をはじめ北国を歌った歌謡曲はたくさんあるが、のちに北原ミレイが歌った『石狩挽歌』は、とりわけ船頭として行った鰊漁場で船が転覆して不慮の死をとげた父の記憶と強く結びつき、こころ揺さぶられるものがあった。」(「まえがき」より) 《目次》 第1章 函館慕情 ― 『津軽海峡・冬景色』『石狩挽歌』『函館の女』 第2章 川内康範、GLAY、『函館ハーバーセンチメント』、『北の旅人』 第3章 函館と森町 ― 石川啄木と李恢成『加耶子のために』 第4章 海外放浪文学の先駆者 ― 長谷川海太郎(谷譲次・牧逸馬・林不忘)の軌跡 第5章 「小説の魔術師」と『新青年』の編集長 ― 久生十蘭と水谷準 第6章 望郷の文学者 ― 亀井勝一郎と「函館八景」 第7章 シベリアと満州を生きる ― 長谷川四郎の生き方 第8章 格差社会の暗部を照らす ― 映像で甦る作家・佐藤泰志 第9章 トポスとしての函館 ― 辻仁成の作品 第10章 エンターテイメント系の作家 ― 谷村志穂、宇江佐真理、今野敏 《著者略歴》 吉岡 栄一(ヨシオカ エイイチ) 1950年、北海道生まれ。法政大学大学院英文学専攻博士課程満期退学。トルーマン州立大学大学院留学。東京情報大学名誉教授。日本コンラッド協会顧問。日本オーウェル協会元会員。『マーク・トウェイン コレクション全20巻』(彩流社)を責任編集。著書に『ジョージ・オーウェルと現代』、『村上春樹とイギリス―ハルキ、オーウェル、コンラッド』、『青野聰論―海外放浪と帰還者の文学』、『文芸時評―現状と本当は恐いその歴史』(以上、彩流社)、『亡命者ジョウゼフ・コンラッドの世界』(南雲堂フェニックス)、『単独者のつぶやき 書評と紀行』(鼎書房)、共著に『文学の万華鏡―英米文学とその周辺』(れんが書房新社)、『英米文学にみる仮想と現実』(彩流社)、『亡霊のイギリス文学 豊饒なる空間』(国文社)、『オーウェル―20世紀を超えて』(音羽書房鶴見書店)、『イギリス文化事典』(丸善出版)、『英語の探検』(南雲堂フェニックス)、共訳に『オーウェル入門』、『気の向くままに 同時代批評1943-1947』(以上、彩流社)、『思い出のオーウェル』(晶文社)、『開高健の文学世界』(アルファベータブックス)など。
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日常という名の海で 2 淡路島物語
¥1,980
講談社エッセイ賞の候補作になった前書に続く第二弾!…映画と同人誌の日々、パリ遊学、心に残る女性の手紙、天才アラーキーらとの出会い、故郷淡路島へ帰り母と静かに暮らす晩年の日常…を詩情豊かに 綴る自伝的記録! 「芝居において、得てして主役に眼がいきがちだが、脇役が大切だ。この日常においてもそれは言えることだろう。伯爵夫人役はシュザンヌ以上に難しい役 だ(『フィガロの結婚』)。 若さはそれだけで華があるが、人生経験を積み見えてくるものがある。伯爵夫人の心の機微を知るものこそ通である。」(「青白い修羅」より) ――――――「世の中は地獄の上の花見哉」(一茶) 《目次》 第一章 青白い「修羅」 第二章 映画と青春彷徨 第三章 自伝的小説 第四章 カタルシス 第五章 「本能寺」と聞けば… 第六章 詩人のパリ遊学 第七章 日記文学 第八章 黄金の時(1) 第九章 黄金の時(2) 第十章 ある文化サロン 第十一章 心に残る手紙 第十二章 田園日記 《著者略歴》 菅 耕一郎(カン コウイチロウ) 1949年淡路島生まれ。1972年早稲田大学第二文学部卒。 ≪著書≫ 詩集:「偽詩人」詩集「偽詩人Ⅱ」「左手で書かれた詩集」散文詩「善と悪の闘い」「きげきてきな夏」 写真集:『写真集 陽気な骨―旅の記憶 1978~1992』『写真集 菅氏の喜び―1992~96年』(いずれも彩流社) 、『日常という名の海で』(アルファベータブックス)
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加賀の芭蕉 『奥の細道』と北陸路
¥1,980
意外に知られていない劇的な『奥の細道』の旅の終わり… 「塚も動け我が泣く声は秋の風」―俳諧の友たちとの《出会いと別れ》を地元の研究者が実地調査で描く。 芭蕉は多くの北陸の俳人と出会い、さまざまな人々との別れを描いている。 多数の写真・地図と資料付。 《目次》 一、越中の歌枕(越中路) 二、対面を願った小杉一笑との別れ(金沢) 三、斎藤別当実盛と木曽義仲の深い因縁(小松) 四、那谷寺に吹く白秋の風(那谷寺) 五、温泉宿の俳諧師の美談と曾良との別れ(山中温泉) 六、伴侶曾良との別離を悲しむ(全昌寺) 七、歌人西行法師の歌(汐越の松) 八、立花北枝との別れ(天龍寺) 九、古き隠士神戸等栽との出会い(福井) 十、気比神宮と遊行上人(敦賀) 十一、須磨にも勝る種の浜の寂しさと秋の夕暮れ(種の浜) 《著者略歴》 山根 公(ヤマネ タダシ) 1945年1月石川県石川郡柏野村(現・白山市)生まれ。都留文科大学文学部卒業、金沢大学法文学専攻科(現・大学院)文学専攻国文学課程修了。その後、石川県立高等学校教員、石川県教育委員会主事を歴任。現在、石川県観光スペシャルガイド、いしかわ観光特使。「風港」客員同人。白山市日中友好協会理事長。 著書に『加賀における芭蕉』『加賀の千代女五百句』『千代女の謎』などがある。
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反―寺山修司論 《復刻版》
¥3,300
死刑執行から20年(1997年8月1日)…。″永山則夫″は今に何を伝えるのか! 「犯罪はなぜ生まれるのか」をめぐり「社会」と「個人」で激しく対立した永山の1000枚を超える「反―寺山修司論」(1977年刊)の復刊。 「本書のタイトルから読者はどんな書物を想像するだろう。永山則夫と寺山修司、この二つの名前はおそらくいまも多くのひとびとのなかで、それぞれに記憶されているだろう。永山は十九歳で連続射殺事件を起こし、獄中で『無知の涙』を著し、死刑執行された人物として。一方寺山は、短歌にはじまって、詩、演劇、映画にわたって世界的に華々しく活躍していた人物として。二人は水と油のように思える。しかし、一九七〇年代、両者には交錯するところが確かにあったのだ。…」 (細見 和之) 《目次》 序――永山則夫と寺山修司、その邂逅の軌跡(細見和之) 戦端(「さらば、津軽 =永山則夫の犯罪」 寺山修司) 第1章 ニセ津軽人と偽善の華々(青森には、むかしから「なんじょがある」…) 第2章 ハイエナ売文屋を駁す(母恋春歌調…) 第3章 昭和元禄と「連続射殺魔」( 寺山修司の『幸福論』…) 第4章 デマゴーグを駁す( 偏見と差別…) あとがき ―― I 本書の背景 II 反省―共立運動の外観と展望 《著者略歴》 永山 則夫(ナガヤマ ノリオ) 1949 年6 月27 日、北海道網走市で生まれる。7 歳の時、青森県北津軽郡に転居。65年、中学卒業後、集団就職で上京。果物店に就職するが半年で退職。その後、宇都宮、大阪、再び東京と転々とする。19歳だった68年10月、アメリカ海軍横須賀基地に侵入し、拳銃を盗む。11月にかけて、東京、京都、函館、名古屋で4人を射殺。「108号事件」として全国に手配。69年4月逮捕。79年、東京地裁で死刑判決。81年、東京高裁で、家庭環境などを理由に無期懲役に減刑。しかし90年、最高裁で再び死刑確定。97年8月1日、刑が執行される。 著書に『無知の涙』(合同出版、角川文庫、河出文庫)、『人民をわすれたカナリアたち』(辺境社、角川文庫、河出文庫)、『愛か-無か』(合同出版)、『動揺記1』(辺境社)、『木橋』(立風書房、河出文庫)、『捨て子ごっこ』(河出書房新社)、『なぜか、海』(河出書房新社)、『異水』(河出書房新社)、『華』(1-4、河出書房新社)など。
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開高健の文学世界 交錯するオーウェルの影
¥2,750
「人間らしくやりたいナ」(サントリー・トリスウイスキーのコピー)で一躍有名になった芥川賞作家開高健は、管理社会を批判し人間らしさを追求したジョージ・オーウェルの『1984 年』と『動物農場』に多大な影響を受け、自ら翻訳もしていた…。 開高健は、『オーパ!』、『フィッシュ・オン』など釣りをテーマにしたノンフィクション作品でも知られ、「開高健ノンフィクション賞」(集英社)もあるが、本書は開高のメインである全文学作品を取り上げ、各章に「開高健とオーウェル」という項を設け、開高の文体分析はむろんだが、浸透、酷似点などを含め開高健の文学世界を俯瞰する。 《目次》 第1章 求心力から遠心力の寓意世界へ――「パニック」 第2章 遠心力を用いた現代寓話――「巨人と玩具」「裸の王様」 第3章 アレゴリカルな自伝的小説の試み――「なまけもの」「二重壁」「フンコロガシ」 第4章 遠心力の文学への回帰と提喩の世界――『日本三文オペラ』『ロビンソンの末裔』「流亡記」「屋根裏の独白」 第5章 ノンフィクション・ノベルからルポルタージュへ――『片隅の迷路』『日本人の遊び場』『ずばり東京』『ベトナム戦記』 第6章 ルポルタージュからふたたび小説へ――『見た 揺れた 笑われた』『青い月曜日』「玉、砕ける」「ロマネ・コンティ・一九三五年」 第7章 ベトナム戦争を題材とする作品群――「兵士の報酬」「フロリダに帰る」「岸辺の祭り」『渚から来るもの』 第8章 ベトナム戦争のトラウマと「闇三部作」――『輝ける闇』『夏の闇』『花終る闇』 第9章 過去への遡行と晩年の作品――『破れた繭 耳の物語』『夜と陽炎 耳の物語』『珠玉』 《著者略歴》 吉岡 栄一(ヨシオカ エイイチ) 1950年、北海道生まれ。法政大学大学院英文学専攻博士課程満期退学。トルーマン州立大学大学院留学。東京情報大学名誉教授。日本コンラッド協会顧問。日本オーウェル協会元会員。『マーク・トウェイン コレクション全20巻』(彩流社)を責任編集。著書に『ジョージ・オーウェルと現代』、『村上春樹とイギリス―ハルキ、オーウェル、コンラッド』、『青野聰論―海外放浪と帰還者の文学』、『文芸時評―現状と本当は恐いその歴史』(以上、彩流社)、『亡命者ジョウゼフ・コンラッドの世界』(南雲堂フェニックス)、『単独者のつぶやき 書評と紀行』(鼎書房)、共著に『文学の万華鏡―英米文学とその周辺』(れんが書房新社)、『英米文学にみる仮想と現実』(彩流社)、『亡霊のイギリス文学 豊饒なる空間』(国文社)、『オーウェル―20世紀を超えて』(音羽書房鶴見書店)、『イギリス文化事典』(丸善出版)、『英語の探検』(南雲堂フェニックス)、共訳に『オーウェル入門』、『気の向くままに 同時代批評1943-1947』(以上、彩流社)、『思い出のオーウェル』(晶文社)など。
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日常という名の海で 淡路島物語
¥1,980
「私は十八で島を出てから東京、パリ、東京、そして再び淡路島へ帰ってきた…。」父と子、母との葛藤、故郷の人々…俳優笹野高史、沖縄の女との出会いと別れを詩情豊かに綴る自伝的記録! 《目次》 第一章 黄金時代――父の死とホトトギス 第二章 淡路島――子供の四季暦 第三章 ぶとう酒色の海――「幸福は心に長く留まらない」 第四章 恋愛論――蝉時雨と前衛としての芭蕉 第五章 父と子――海のような日常と父の虚無 第六章 反抗期――「無より悲しみのほうがいい」 第七章 素朴さと軽やかさと――首里の娘 第八章 「ユリシーズ」――政治の季節に何を見たか 第九章 「マタイ受難曲」――クラシックとパウル・クレイ 第十章 明るい部屋――レスボス島の女と小さな男 第十一章 シュールレアリスム――安部公房と三島由紀夫 第十二章 美しい嘘――音楽の音と芝居 《著者略歴》 菅 耕一郎(カン コウイチロウ) 1949年淡路島生まれ。1972年早稲田大学第二文学部卒。 ≪著書≫ 詩集:「偽詩人」詩集「偽詩人Ⅱ」「左手で書かれた詩集」散文詩「善と悪の闘い」「きげきてきな夏」 写真集:『写真集 陽気な骨―旅の記憶 1978~1992』『写真集 菅氏の喜び―1992~96年』(いずれも彩流社)
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花の俳人 加賀の千代女
¥1,980
今、甦る江戸期の花の俳人。「女芭蕉」と称され、朝鮮通信使に21句を贈物した歴史的女性の生涯! 松尾芭蕉十傑の一人・各務支考に見出され千代女(1703-1775)。代表作「朝顔や つるべ取られて もらい水」「月も見て 我はこの世を かしく哉」などを詠んだ女流俳人の軌跡。伊勢派俳壇の中心人物・乙由とのロマンスや芭蕉と弟子たちの人間模様が鮮やかに甦る。晩年には与謝蕪村の句集『玉藻集』の序文も手がけている。太宰治の短編や落語の三代目桂三木助の「加賀の千代」に取り上げられた千代女の知られざる人生を描く歴史物語。 「…むかし加賀の千代女が、はじめてお師匠さんのところへ俳句を教わりに行った時、まず、ほととぎすという題で作って見よと言われ、早速さまざま作ってお師匠さんにお見せしたのだが、お師匠さんは、これでよろしいとはおっしゃらなかった、それでね、千代女は一晩ねむらずに考えて、ふと気が附いたら夜が明けていたので、何心なく、ほととぎす、ほととぎすとて明けにけり、と書いてお師匠さんにお見せしたら、千代女でかした! とはじめて褒められたそうじゃないか、何事にも根気が必要です、と言ってお茶を一と口のんで、こんどは低い声で、ほととぎす、ほととぎすとて明けにけり、と呟つぶやき、なるほどねえ、うまく作ったものだ、と自分でひとりで感心して居られます。お母さん、私は千代女ではありません。なんにも書けない低能の文学少女、炬燵にはいって雑誌を読んでいたら眠くなって来たので、炬燵は人間の眠り箱だと思った、という小説を一つ書いてお見せしたら、叔父さんは中途で投げ出してしま いました。…」(太宰治の短編『千代女』より) 《著者略歴》 清水 昭三(シミズ ショウゾウ) 山梨県韮崎市在住。著書に『芥川龍之介の夢』『椎名麟三の神と太宰治の神』(いずれも原書房)ほか。
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シェーマス・ヒーニー アイルランドの国民的詩人
¥3,850
アイルランドの歴史と試練を珠玉の抒情詩に凝縮して、世界の共感を呼んだノーベル賞詩人ヒーニーの魅力の本質を明らかにした渾身の批評集。 ヒーニーの才能をいち早く見抜いてハーヴァード大学に招聘した英米詩批評の第一人者ヴェンドラーが、身近な同僚・友人としての深い理解と緻密な文体論分析で、その魅力の本質を明らかにする。 最新のヒーニー論・悼詞、年譜等も収録した没後3周年記念追悼版。 《目次》 編訳者前書き Ⅰ 謝辞 年譜(1939-1997) 序文 第一章 名もなき人々 ― 『ナチュラリストの死』、『闇への扉』、『冬を凌ぐ』 第二章 考古学 ― 『北』 第三章 文化人類学 ― 『フィールドワーク』 第四章 他者性と分身 ― 『ナチュラリストの死』から『ステーション島』へ 第五章 寓話 ― 『山査子の実提灯』 第六章 軽み ― 『ものを見る』 第七章 その後 ― 『水準器』 Ⅱ 年譜(続)(1997-2015) ヒーニーの晩年の三詩集 ― 日本語版への序に代えて ― シャーマス・ヒーニーの「蘇ったスウィーニー」 ― そのプロットと詩 ― わが追憶のシェーマス・ヒーニー(「枝を張る魂」) ヴェンドラーのヒーニー論 ― 書誌に代えて ― 《著者・翻訳者略歴》 ヘレン・ヴェンドラー(Helen Vendler) 1933年ボストン生まれ。ハーヴァード大学で博士号取得(英米文学)、スミス・カレッジ、ボストン大学等で教え、1985年ハーヴァード大学教授、1990年女性初の同大学特任 A.キングスリー・ポーター寄付講座教授、現在に至る。1980年MLA会長。 W. B. イェイツ、ウォレス・スティーヴンス、ジョージ・ハーバート、ジョン・キーツに関する初期の著作に続き、詩論を中心に、『ニューヨーカー』をはじめ英米一流批評紙誌に健筆を揮った成果をPart of Nature, Part of Us (1980), Music of What Happens: Poems, Poets, Critics (1988), The Given and the Made: Strategies of Poetic Redefinition (1995)等に集成、懸案の大著The Art of Shakespeare's Sonnets (1997)に 続いたのが、今回邦訳したSeamus Heaney (1998)。 その後Invisible Listeners: Lyric Intimacy in Herbert, Whitman, and Ashbery (2005), Emily Dickinson: Selected Poems and Commentaries (2010), The Ocean, the Bird and the Scholars: Essays on Poets and Poetry (2016). 村形 明子(ムラカタ アキコ) 1941年札幌生まれ。1964年東京大学教養学部教養学科卒、スミス・カレンジを経て、1971年ジョージ・ワシントン大学Ph. D (アメリカ研究)。京都国立博物館を経て、1978年京都大学助教授、教授(比較文学・比較文化) 、2004年~名誉教授(人間環境学研究科)。 1980年日本フェノロサ学会創立幹事/編集委員、会長(2003-09) 、現在名誉会員・顧問。主著:『ハーヴァード大学ホートン・ライブラリー蔵フェノロサ資料』Ⅰ―Ⅲ (1982-87),『フェノロサ文書集成―翻刻、翻訳、研究』上下巻(2000-01) ,『フェノロサ夫人の日本日記―京都へのハネムーン(1896)』(2008)等。
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菜園・戴冠式 中山均 初期作品集
¥1,650
1980年代に見えていた平凡なあの空を追う……。病に倒れた初老の、過去心象スケッチ集。東大駒場 銀杏並樹賞受賞作品を含む5編で編む! 年若き、柔らかな言葉たちへ 橋本 晃(立教大学社会学部教授) またいつ泣き出すかわからない薄暮の空の下、周囲とあまり調和をなしているとは言い難いコンクリート造り、ガラス張りの近代的な建物へと急いだ。春まだ遠い駒場のキャンパス。ちょうど旧制高校時代以来の魔窟のような寮が立ち並んでいたあたりだ。その魔窟の頂上にあたる屋上で、小説の同人誌メンバーで演劇の練習をした――。長身にウェーブのかかった髪、関西弁で柔らかながら強気の言葉を途切れさせることない中山は、駒場の学生団体が主宰する小さな文学賞を本書表題作の「菜園」で受賞したばかりで、新たに同人誌に加わってきた精神の畸形児たちがふっかける論戦にもひるむことがなかった。高校時代に学生向け雑誌に、やはり本短編集にも所収の「オレンジ通り」が掲載され、ついで大学で前述の賞をもらったばかりだった。 《著者略歴》 中山 均(ナカヤマ ヒトシ) 1963年京都府出身。1982年 東京大学入学。東京大学文学研究会代表・「駒場文学」編集発行人。1987年東京大学理学部数学科卒業。在京民放局に入社、カメラマン・記者などを勤める。2015年、食道がんで食道全摘出。その後転移・再発に至る。 趣味:通勤。
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ラ・セレスティーナ カリストとメリベアの悲喜劇
¥3,300
『ドン・キホーテ』と並び評され、近代文学に多大な影響を与えた、サラマンカの若き貴族と令嬢、悪魔の老女との悲劇を描く15世紀の対話小説の傑作。 《翻訳者略歴》 岩根 圀和(イワネ クニカズ) 神奈川大学名誉教授。主な訳書に『新訳 ドン・キホーテ(前・後)』(彩流社)、『贋作 ドン・キホーテ(上下)』、アベリャネーダ(ちくま文庫)、『落ちた王子さま』ミゲル・デリーベス(彩流社)、『糸杉の影は長い』ミゲル・デリーベス(彩流社)、『異端者』ミゲル・デリーベス (彩流社)、『バロック演劇名作集』(国書刊行会)他 。著書『スペイン無敵艦隊』(彩流社)、『贋作 ドン・キホーテ』(中公新書)、 『物語 スペインの歴史』(中公新書)、『物語 スペインの歴史 人物篇』(中公新書)
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新モラエス案内 もうひとりのラフカディオ・ハーン
¥2,750
日本文学者のモラエス観、モラエスをめぐる女性たち、俳句などの新たな研究! ラフカディオ・ハーンと同じ時期に来日し、31 年間、日本文化をポルトガルに発信し続け、徳島で隠棲した文学者の軌跡。 ヴェンセスラウ・デ・モラエス (1854-1929) ポルトガルのリスボン生まれ。1876 年海軍士官学校を卒業後、モザンビーク、88 年マラオに士官としてそれぞれ赴任。89 年日本へ仕事で初来日。98 年神戸・大阪の副領事として赴任。1912年総領事の職を辞して徳島に隠棲。日本をテーマとした小説やエッセイを数多く書いて祖国ポルトガルに送り続けた。著書に『おヨネとコハル』『徳島の盆踊り』『日本精神』など多数。 《目次》 I モラエスの軌跡 モラエスの生涯 モラエスをめぐる女性たち モラエスの文学と主要作品 II モラエスとラフカディオ・ハーン 二人の作家の共通点と相違点 モラエスが現代に語りかけるもの III 日本人文学者とモラエス 佐藤春夫とモラエス 新田次郎とモラエス 司馬遼太郎とモラエス 遠藤周作とモラエス 瀬戸内寂聴とモラエス 花野富蔵とモラエス IV モラエス新考 モラエスとハイカイ (俳句)──翻訳の方法と実践 モラエス来徳日時・ルートについての一考察 サウダーデとポルトガル人──パスコアイスとモラエスの事例に触れて モラエス年譜 《著者略歴》 深沢 暁(フカザワ アキラ) 東京外国語大学大学院修士課程修了。天理大学国際学部教授。ポルトガル語学・文学専攻。 主要著書 クラリッセ・リスペクトール『G・H の受難/ 家族の絆』(共訳、集英社)ヴェンセスラウ・デ・モラエス『オヨネとコハル』(共対訳、大学書林)『ベーシックブラジルポルトガル語』(東洋書店)ほか。
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東海道五十一駅
¥1,980
大阪の大学の教員時代、電車に乗れなくなる神経症を描いた中編(『東海道五十一駅』)。通俗小説作家が、SNS「ロクシィ」を通して出会う変わった女たちとの交際。どこまでが作者の実体験か、すべてフィクションなのか。現代の「性」がここに(『ロクシィの魔』)。禁煙ファシズムの行く末を描く、近未来小説(『あなたの肺気腫を悪化させます』)。 《著者略歴》 小谷野 敦(コヤノ アツシ) 1962年茨城県生まれ、埼玉県育ち。東京大学文学部英文学科卒。同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。元大阪大学言語文化部助教授。比較文学者、作家。2002年に『聖母のいない国』でサントリー学芸賞受賞。
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小谷野敦のカスタマーレビュー
¥2,420
SOLD OUT
小説、映画、評論、エッセイ、学術書について某巨大ネット書店のレビューに実名で書いた、酷評と賛辞、735本。 《著者略歴》 小谷野 敦(コヤノ アツシ) 1962年茨城県生まれ、埼玉県育ち。東京大学文学部英文学科卒。同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。元大阪大学言語文化部助教授。比較文学者、作家。2002年に『聖母のいない国』でサントリー学芸賞受賞。
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遊君姫君 待賢門院と白河院
¥2,090
大河ドラマ「平清盛」の時代、王家の権力闘争と、禁じられた性愛の官能美を、冷徹な筆致で描く王朝絵巻。史料を基に考証を重ねた渾身の歴史小説。 《目次》 主な登場人物 系図 序章 白河の章 璋子の章 鳥羽院の章 瀬長の章 あとがき 参考文献 年表 《著者略歴》 小谷野 敦(コヤノ アツシ) 1962年茨城県生まれ、埼玉県育ち。東京大学文学部英文学科卒。同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。元大阪大学言語文化部助教授。比較文学者、作家。2002年に『聖母のいない国』でサントリー学芸賞受賞。
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背徳の方程式 MとSの磁力
¥2,090
バブル経済に浮かれる時代の外務省キャリアの一家を主人公に、サディズムとマゾヒズム、価値の変換、両極の同位性を追求した傑作。リアリズムの極致とファンタジーが交錯する(『背徳の方程式―MとSの磁力』)。若者の偏執的な愛情を描く。三次元から二次元へのスライドと狂気(『人形―暗さの完成』)。一九七八年三月二十六日の成田空港開港阻止決戦、三里塚闘争をユーモラスに描く。生き生きと描写される新左翼活動家たちの闘争は、まさに現代の神話(『七十八年の神話』)。野村秋介と見沢はともに千葉刑務所に十二年収監されていた。野村と自分とを重ね合わせた、自伝的作品(『獄中十二年』)。遺品から発見された、未発表原稿。「主観的な真実」を信じ抜いた作家の原点。 《著者略歴》 見沢 知廉( ミサワ チレン) 1959年、東京都文京区生まれ。高校在学中に共産主義者同盟戦旗派に加盟、1978年の三里塚闘争で成田空港占拠闘争に参加。中央大学法学部2部除籍中退。1980年より新右翼活動に入り、1982年、新右翼の一水会・統一戦線義勇軍書記長に就任。日本IBM、英国大使館等への火炎ゲリラ活動を行い、同年秋、スパイ粛清事件で逮捕。懲役12年の判決を受け、千葉刑務所などで1994年12月まで服役。1995年、獄中で執筆した『天皇ごっこ』を発表し、第25回新日本文学賞の佳作。