伊福部昭と戦後日本映画《叢書・20世紀の芸術と文学》
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「ゴジラ」をはじめとする特撮映画の音楽で知られる作曲家・伊福部昭。 今年は、伊福部の生誕100年、ゴジラ60年で改めて注目されている。 しかし、伊福部が関わったのは特撮映画だけではない。 東宝、東映、大映、松竹、日活、そして独立プロと、映画界を横断し、 黒澤明、市川崑、三隅研次、今井正、熊井啓、新藤兼人、吉村公三郎、本多猪四郎、 三船敏郎、勝新太郎、中村錦之助、市川雷蔵、石原裕次郎ら、 巨匠・名優たちとともに、映画作りに参画した、 戦後最大の映画人のひとりだった。 伊福部研究の第一人者が書き下ろす、伊福部昭を通して見る、戦後映画史。
《目次》
はじめに―伊福部昭の道程
第一章 伊福部昭と映画音楽
一 伊福部昭と映画の出会い
二 伊福部映画音楽のフォーム
三 伊福部映画音楽の位置づけ
第二章 東宝映画と伊福部映画音楽
一 東宝の成立と映画音楽作曲家・伊福部昭の誕生
二 映画音楽デビューを飾った『銀嶺の果て』
三 映画音楽作曲家として歩みだした時代の響き
四 谷口千吉と千葉泰樹の映画にかぶさった伊福部映画音楽
五 東宝人間ドラマ映画を彩った伊福部リリシズム
六 伊福部と『ゴジラ』
七 伊福部SF特撮怪獣映画のとどろきと形態
八 豪放かつ繊細な鳴りが共存した伊福部東宝時代劇映画音楽
九 一九七〇年代初期の東宝カラーに融け込んで
十 『銀嶺の果て』から三十年、再び『銀嶺の果て』へ
第三章 大映映画と伊福部映画音楽
一 大映誕生の産声とともに
二 黒澤明、伊藤大輔、吉村公三郎、新藤兼人との仕事を経て
三 大映東京プログラム・ピクチャー映画を彩った響き
四 大映京都時代劇映画で展開した音楽演出
五 伊福部昭と『釈迦』
六 大映京都特撮映画の傑作群を奏で上げたサウンド
七 座頭市の孤独感と流浪の悲哀をうたった伊福部ボレロ
八 大映京都時代劇映画の終焉に合わせて
第四章 東映映画と伊福部映画音楽
一 東横映画を端緒として
二 関川秀雄との濃厚なる共同作業
三 東映の匠たちとの仕事のなかで
四 中村錦之助主演作を担った音楽フォーム
五 『わんぱく王子の大蛇退治』から再び関川秀雄へ
第五章 日活映画と伊福部映画音楽
一 日活の誕生、製作再会の時代へ
二 伊福部と日活を引き合わせた近代映画協会
三 一九五〇年代日活カラーの一端を担った響き
四 『ビルマの竪琴』と日活活劇映画隆盛期のなかで
五 中平康と伊福部の音楽的呼吸感
六 伊福部の日活を象徴する二本の熊井啓監督作
第六章 松竹映画と伊福部映画音楽
一 松竹映画の成立と<松竹大船調>の確立
二 大庭秀雄とのいくつかの仕事を通して
三 一九五〇年代、伊福部松竹大船映画音楽の鳴り
四 <松竹ヌーヴェル・ヴァーグ>の果ての松竹映画から聞こえた伊福部映画音楽
第七章 独立映画プロダクションと伊福部映画音楽
一 吉村公三郎と新藤兼人の気概と執念
二 伊福部昭と『原爆の子』
三 近代映画協会作品における伊福部映画音楽のきわだち
四 世界的巨匠監督との一期一会
五 現代ぷろだくしょん作品における伊福部映画音楽演出
六 関川秀雄の熱き想いを音楽表現した作品群
七 埋もれた映画たちの息子を奏でて
第八章 ドキュメンタリー・文化映画と伊福部映画音楽
一 ドキュメンタリー映画会社の戦後の歩みとともに
二 伊福部昭と岩波映画製作所の邂逅
三 岩波映画製作所の発展と高村武次の台頭
四 高村武次監督作を筆頭として
五 機械への共感と北の大地への想い、ドキュメンタリー映画音楽担当者として
六 一九九〇年代に鳴りわたった伊福部ドキュメンタリー映画音楽
あとがき
参考文献一覧
伊福部昭創作品リスト
伊福部昭 映画作品 映画会社別リスト
索引
《著者略歴》
小林 淳(コバヤシ アツシ)
映画・音楽関連文筆家。1958(昭和33)年、東京生まれ。日本映画・外国映画、映画音楽にかかわる文筆・評論活動を行う。【 著書】『本多猪四郎の映画史』『岡本喜八の全映画』『ゴジラ映画音楽ヒストリア』(以上、アルファベータブックス)、『日本映画音楽の巨星たち』(Ⅰ~Ⅲ)『伊福部昭の映画音楽』『伊福部昭 音楽と映像の交響』(上・下)『佐藤勝 銀幕の交響曲(シンフォニー)』(以上、ワイズ出版)、『ゴジラの音楽―伊福部昭、佐藤勝、宮内國郎、眞鍋理一郎の響きとその時代』(作品社)【編書】『 伊福部昭綴る―伊福部昭論文・随筆集』『伊福部昭語る―伊福部昭映画音楽回顧録』『伊福部昭綴る〈2〉―伊福部昭 論文・随筆集』(ワイズ出版)
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